51% 五割一分

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Interview | 時を経て、なお美しく。

2020.11.02/ INTERVIEW
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愛犬と車

県内に8店舗を構える人気ラーメン店「まるたかや」を経営するご主人と、経営を支える奥様。朝早くから仕込みに向かい、ご主人が帰宅するのは毎晩22時過ぎ。家で過ごす限られた時間は、ソファに身を委ねて好きな映画を観ることが多い。「仕事が忙しい時にも、“はやくここに帰りたい”と思える場所があるから、頑張れているんじゃないかな」と奥様。
天気の良い休日には愛犬と一緒に海へと向かう。ドッグレースの常連犬種でもあるウィペットとイタリアングレーハウンドの2匹が、砂浜を駆け回る姿に癒される。広々としたガレージで車を触るのもご主人の趣味のひとつ。「80’sのハイラックスサーフとフォードのトーラスワゴンは、どっちも若い頃に乗っていたものをまた欲しくなって購入したんです。やっぱり古いものに惹かれるし、それを思うがままにカスタムするのが好きですね」。

愛犬のイタリアングレーハウンド

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ご主人のハイラックスサーフ

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Albertslund Wall/louis poulsen

長く、大事に
エイジングを楽しむ

家を建てると決めた時、まだ保育園に通っていた子供たちは県外の大学へ巣立ち、現在は夫婦2人と愛犬2匹との暮らし。「16年」という月日が家族のライフスタイルを大きく変えたが、住まいに色あせた様子はない。ところどころにクラックが入ったモルタル仕上げの外壁、愛犬がかじったパイン材の床、少しクタッとしたアントニオ・チッテリオのソファも味わいを増し、古びてなお美しさに磨きがかかっている印象を受ける。
「好きなものを長く使うという考えは夫婦二人とも共通していて、テーブルや椅子も新築の時から使っているものばかりですね。自分たちが納得のいくものを選んだので、特にここを変えたいとかは全然ないです」。デニムやブーツも20年選手がいくつもある、というご主人。大切に手入れをしながら愛情を注ぐスタイルは、家の温かい雰囲気からも伝わってくる。

Diesisソファ/B&B ITALIA(ANTONIO CITTERIO)

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OTTO 52ローテーブル/GERVASONI

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ALLU241ダイニングチェア/GERVASONI

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感性は伝わる

ガレージとの間に設けた中庭からリビングに明るい光が差し込み、ベストなバランスで植えられた一本のヤマボウシがゆとりをもたらしてくれる。囲まれた壁によって近隣からの視線は遮られ、「家族だけの基地のようなイメージにしたかった」というご主人の言葉がしっくりくる。
「購入した土地が少し変わった形状で、間口も狭かったんです。五割一分さんへ相談に行くと、 “面白いものがつくれそう”と言ってもらえて、それからの打ち合わせはとにかく楽しくて、完成した時にはもう終わっちゃうの?と淋しくなったくらい(笑)」とお二人は振り返る。子供中心の家づくりは一切考えずに、二人が好きなもの、建てたい家をつくる。そのこだわりが詰まった住まいで過ごした、子供たちの感性は十分に磨かれたのだろう。都会に住み、映画制作の道を志す長女は、今でも「うちが一番かっこいい」と話してくれるという。

Interview | 時を経て、なお美しく。
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絵画/猪熊弦一郎「丸と梯子」

DATA

所在:富山市
竣工:2004年
構造:木造(車庫は鉄骨造)
敷地面積:218.18㎡
建築費:2,500~3,000万円
家族構成:ご夫婦、愛犬2匹(現在県外在住の子2人)
家具・照明:
Diesisソファ/B&B ITALIA(ANTONIO CITTERIO)
OTTO 52ローテーブル/GERVASONI
ALLU132ダイニングテーブル/GERVASONI
ALLU241ダイニングチェア/GERVASONI
バイオエタノール暖炉/Eco Smart Fire
照明/louis poulsen
絵画/猪熊弦一郎「丸と梯子」

Written by 51% Achitecture
51% Architectureは、富山と東京に拠点を置く建築設計事務所。全国で様々な住宅・商業施設・オフィスの設計、リノベーション、インテリアコーディネート等を手掛け、流行に左右されないタイムレスで心踊る建築を探し続けています。
Editing by 51%
ある陶芸家さんが言いました。「美しいか、否か?なんてのは、ほんの些細な違いだよ」「いつも51対49でせめぎ合ってるよ」「だから僕達創り手は、ほんの些細なその1%に魂を込めて、その1%に願いを託すんだ」いつもややこしいと言われる五割一分の名の由来は、その時のお話からいただいたものです。