“県内初の小児歯科専門医院” 開院から移転まで
石川県金沢市、県庁にほど近い閑静な住宅街に「みやうち・こども・デンタル・クリニック」はある。略称である“MKDC”と書かれたサインを目印に、毎日多くの親子が訪れる。2013年に石川県内初の小児歯科専門のクリニックとしてオープンし、2020年に現在の場所に移転。初診は2ヶ月先まで予約でいっぱいというほどの人気ぶり(*定期健診枠は比較的予約を受け易いとのこと)。「患者さんが増えることを予想して、元々将来的な移転は考えていました。現実的に手狭になってきたので、いよいよかなと」と、院長の宮内康範さんは移転当時を振り返る。“開院から10年”と描いていた構想からは少しばかり早くその時はやってきた。
子どもも大人もワクワクするような空間づくり
「最初のクリニックにも満足していたんですが、患者さんはもちろん、スタッフがストレスなく働けるようにと、作業動線やオペレーションを設計プランナーとあらためて何度も確認し合いました」と宮内さん。前院からの希望でもあったスタッフ休憩室の充実も叶った。特に待合室のインテリアは、年代の違う子供たちと大人が違和感なく過ごせる空間づくりを目指した。ルイスポールセンの照明があたたかく迎えてくれる広い待合室。キッズスペースを囲んでいるのは、落ち着いた配色ながら目にも楽しく美しいスイスのモジュール家具 “USMハラー”。収納家具でありながら、空間を緩やかに仕切るパーテーションにもなる。さらにこのクリニックでは、子どもを傍で見守るための椅子となり、時には学校の宿題もできるテーブルにも使うことができるようにと、組み方が工夫されている。「歯医者と聞くと、“コワイ”といったイメージが先行しがちだけれど、既存のイメージの歯医者からは脱却しつつ、でも子どもが使うからと言って原色ばかりを使ったインテリアや、見せかけだけの簡素なものにはしたくなかったんです」と宮内さん。
健やかな成長を見守る場所
その空間への思いも、小児歯科医としての信念から生まれたものだった。「健診で虫歯と言われたから来院するのではなく、親が子どもの健やかな成長に興味を持つきっかけとなる場所であってほしいんです」。「歯は一生モノ」そう宮内さんは繰り返す。「痛くなってから」ではなく、「定期的に」メンテナンスをする意識をもっと持ってほしい。そうすれば子ども達にとって歯医者は嫌なところじゃなくなるはずだと。
院内は待合室だけでなく、カルテ室やスタッフルーム、院内の掲示物に至るまでとても整理整頓されていた。取材に訪れたこの日が特別というわけでもないらしく、SNSの管理なども含めてスタッフが自発的にやってくれているのだそう。心地よいものに囲まれ、整理された空間で、定期的なセルフメンテナンスで自分自身を整える。「ここでの時間が、子どもたちの成長や、大人になってからの習慣に何かしら良い影響を与える事ができたら、とても嬉しいですね。」
DATA
みやうち こども デンタル クリニック(MKDC)
石川県金沢市鞍月3-101
076-254-0513
https://m-k-d-c.jp
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