氷見での暮らし
ご夫婦共に生まれも育ちも富山県氷見市。大学でお互い県外へ進学したが、就職に縁があり里帰りした。
新居の建築にあたり、土地選びのキーワードになったのが”海”だった。シンガポール人のお母様を持つ奥さま。「海の向こう側は世界と繋がっているんだよ。」とお母様がよく海へ連れ出してくれた記憶をたびたび思い出す。幼いころから自身のルーツは海の向こうにあることを感じ、海への思い入れは強かった。
この家には山の峰を結んで続く稜線から朝日が差し込む。時間のある朝は、サップでクルージングに出かけることもあるそうだ。夜は歩道に並ぶ照明と漁火を眺めながら、家族の時間を過ごしている。多忙な仕事と子育ての合間に感じる自然を夫婦は大切にしていた。
「氷見には幼少期に気づけなかった心豊かになる場所が多くあります。キッチンやリビングから海が見えるこの家は本当に居心地がいいですね。氷見に戻ってきて良かったと思っています。」
海と遊ぶ
釣りが趣味のご主人は窓から波を確認し、まるで庭に出るかのように釣りに出かける。家族揃って浜辺に遊びに出ることも多い。流木は積み木に代わり、砂浜は絵を描くキャンバスとなり、子どもたちを楽しませてくれる。
「自然が身近にある暮らしは、季節や環境の変化をダイレクトに感じます。観察力や感性が育まれるような気がして、子育てにも最適な環境だと思っています。自然と遊ぶことはいくつになっても楽しいですね。」
楽しみの分かち合い
奥さまは県内で様々なイベントを主催している。初主催したイベントはミモザの日(※)をお祝いする「ミモザの会」。花、スイーツ、食それぞれに長けた友人が集まり、ミモザで埋め尽くされた会場でスイーツやフィンガーフードが振る舞われた。
1日限りのイベントにも関わらず「ミモザの会」は話題を呼び、SNSでも多く取り上げられた。好奇心旺盛で楽しむことに純粋な奥さまの人柄に引き寄せられ、自然と人が集まるのだと、取材を通して感じた。
「様々なご縁があり、才色兼備な友人が多いです。友人たちと一緒に、身近にあるものを生かした心豊かに過ごせる時間や空間を創り、分かち合いたいですね。さらに海の向こうに住んでいる世界中の人たちとも交流できる機会をつくって、互いの知恵や工夫を共有できたら、もっと幸せだろうなと思います。」
※: 1904年にはじまった国際女性デー。イタリアではこの日に男性から女性へミモザが贈られる。
DATA
所在:氷見市
竣工:2018年
構造:木造
敷地面積:291.42㎡
建築費:2,500~3,000万円
家族構成:ご夫婦、子2人
家具・照明:
CH006ダイニングテーブル / Carl Hansen & Son
竣工当時の写真はこちらからご覧いただけます。